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 午後6時、予定通りの開催を知らせる花火の音が響き渡った。

 東京メトロ雑司ヶ谷駅から地上へ出ると、すぐに都電荒川線の鬼子母神駅がある。蛍光灯を灯した路面電車が暗がりの中へ遠ざかっていくのを見送りながら踏切を渡ると、もうそこには祭りへ向かう人の流れができていた。

うっすらと灯りを照り返す石畳の参道。家々の軒先で光る行灯。半纏を着た親子連れ。露店からの香ばしい匂い。そして、境内から聞こえてくる鐘と鼓の音。これだこれだ、祭り好きの血が俄に騒ぎ始める。雑司ヶ谷、法明寺の御会式。私は飛び地境内にある鬼(正しい漢字は鬼から最初の点をとったもの)子母神のお堂へと向かった。

それにしても、都電も走っているし、都心の下町なんてフレーズも見ていたのだが、この雑司が谷という町はどちらかというと、「威勢のいい」よりも「品のいい」人が多いように見える。ふと目に飛び込んできた若いお父さんお母さんも、日々の子育てに必死というよりは、きれいめな服を着、髪もすっきり整えられていて、なんとなくスマートな印象。そしてまた、そういう子育て世代が多い町と言う気もする。参詣客の多くが家族連れで、お年寄りグループが比較的少ない。

境内に群れて焼きそばなんかを食べている制服姿の中高生もいるが、なんとなく悪そうな感じがしない。この雰囲気は、目と鼻の先にある池袋とも全く違う。なんだか治安の良さそうな町だ。ここが子授けと子育ての神様、鬼子母神を祀っているお寺だからだろうか。そんなことを見たり考えたりしながら、私も一児の母、子育ての神様にまずは手を合わせた。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/