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2014年12月12日配信
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仕事、家、お金のすべてを失ったヒロインが、老人たちを介護を買って出る「押し掛けヘルパー」を務める姿を描く映画『0.5ミリ』(公開中)。先日、公開を前に大阪市内で安藤桃子監督、主演・安藤サクラ、共演の坂田利夫が記者会見を行った。

メガホンをとったのは、2009年『カケラ』で長編デビューした安藤桃子監督。自身の8年におよぶ祖母の介護経験が、今回の映画の原点となっている。「8年を通し、祖母を看取ってきましたが、“介護”という言葉でくくる社会に違和感があったんです。介護をする時間の中には、数々の喜怒哀楽がある。そのドラマに映画監督として向き合わなければならない、と。そこでこの映画を作ろうと思いました。ただ、ちゃんとエンタテインメントとして描きたかった。実際の介護体験の苦しさを知っているし、(介護をめぐる現状に対する)怒りを笑いに変えて、そこから(観る人に)深いところを感じとってもらいたい」

主演は、『かぞくのくに』『愛のむきだし』など出演作がたえない安藤サクラ。実の姉である安藤桃子監督は「安藤サクラと、津川雅彦さんや柄本明さんといった映画界のレジェンドを同じ土俵で闘わせて、そこで起きる化学反応を見たかった」と、妹・サクラを見ながら語る。

安藤サクラも「私のことをずっと間近で見てきた姉だからこそ、私の持っているすべてのものを引き出せたのだと思います。そこに、色々な方との化学反応もあり、自分が演じた山岸サワができあがった。特に坂田師匠との共演は本当に嬉しくて。小さいときから“アホの坂田”が大好きだったので、今日、こうやって撮影のとき以来、久しぶりにお会いできて、ちょっと照れて直視できない。撮影中もずっと坂田師匠に心を奪われていましたから。とても素敵で、妖精や神さまみたい」と坂田利夫に熱烈ラブコール。

安藤桃子監督も「映画をご覧になられた方から『まさか、坂田師匠で泣くなんて』という感想を聞きます」とにやり。その言葉を受けて、大ベテランのお笑い芸人・坂田利夫は「やることすること、すべてが初体験。とにかく監督やサクラさんに迷惑をかけないように、と思って身体がカチカチになった。恐怖感もあったけど、でも男らしく(映画の世界に)飛び込んでみました」と振り返った。

安藤サクラ演じる山岸サワと、坂田利夫ら老人たちのやりとりを、ユーモアを存分にこめて綴る人間ドラマ。安藤桃子監督は「サワというニューヒーローを誕生させたかった。今の世の中からこういう人が登場して欲しい。すごく多面的で、この先の社会に求められている人物だと思います」とアピールした。

『トワイライト ささらさや』は全国公開中
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取材/文 田辺ユウキ(映画評論家)

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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。