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2014年7月に、横浜アリーナで解散ライブを行った6人組アイドルグループ「BiS(ビス)」。そのコンサート当日と前後日の計3日間に密着したドキュメンタリー映画『劇場版BiSキャノンボール2014』が全国公開中だ。そこで先日、大阪のシネ・リーブル梅田で舞台挨拶が行われ、メガホンをとったカンパニー松尾監督、元BiSのファーストサマーウイカが登壇した。

本作の企画の起点は、2014年1月から全国各地で順次上映され、爆発的大ヒットを記録したAVシリーズ最新作の映画化『劇場版テレクラキャノンボール2013』(公開中)。カンパニー松尾監督を中心とする6人のAV監督が数日間、東京から北海道へ車やバイクでスピードレースを行い、さらにその道中でナンパや出会い系サイトを使い、誰がいち早く女性をつかまえられるかを競う。「女性にこういう言葉を言わせたら1ポイント」などのルールがあり、その合計特典で総合順位を決定。ポイントをゲットするために全員が試行錯誤する様が、爆笑と妙な感動を呼んだ。

アイドルでありながらAV好きというファーストサマーウイカは「カンパニー松尾監督のファンだった。(カンパニー松尾監督たちがドキュメンタリーを撮ってくれると聞いて)メンバーの中で私だけ、『ヤッター!』と思った。だけど、自分たちの知らないところで、あんな卑劣な特典が付けられているとは…」と苦笑い。

“BiS”キャノでは、3日間、元BiSの6人をカンパニー松尾、バクシーシ山下、ビーバップみのる、タートル今田、梁井一、嵐山みちるのテレキャノ参加監督がマンマーク。ハグ、電話番号ゲット、靴下のにおいをかぐ…など、今作にもさまざまなポイントルールがあり、メンバーとベッドインすれば最高得点が獲れる。6監督はアイドルを相手に無謀にも最高点を狙うが、そんなこととは露知らず、「単なる解散ドキュメンタリー」としか聞かされていない元BiSは、監督陣の不審な行動に不信感を募らせる。

ファーストサマーウイカは「(無料メールアプリの)LINEで密会のように、それぞれに今何が起きているか、情報を共有し合っていた。でも解散ライブが終わった後日、みんなで会ったときも、(解散ライブ前夜に)各監督と何があったのか話そうとしない。(メンバーの)コショージメグミに聞いても、『あー、そういえば(梁井一監督と)猫を見たんスよー』しか言わない。何より、全員が怒っていて、不信感だらけ。『(監督とメンバーの)ふたりにしか分からない出来事だから、記憶から消したい』ということなのか、何も言わなかった。そして、この映画を観て知った事実が満載」と“悪夢”を振り返る。

カンパニー松尾監督は「BiSは、(アイドルとは思えないような)いろいろなことをやっていた。そんなBiSを『撮ってくれ』と依頼されたとき、『これは負け戦だな』と。だから今回のような企画を考えついた。何よりも、BiSは自分たちの活動についてどう思っていたのか。それを撮りたかったんです」

しかし、ファーストサマーウイカが「地獄絵図のような伝説(の映像)」と話すように、ビーバップみのるが取材相手のテンテンコを、宿泊先のホテルの室内で深夜何時間にも渡って口説くなど、“悲劇”が次々と起こり、ファーストサマーウイカも号泣して激怒。記念すべき解散ライブの裏側で大問題が連発する。

カンパニー松尾監督は「あわせる顔がない。“人間”を撮るために、これまでおもしろいことをやってきたけど、今回はやっぱりヘコんでいる」と申し訳なさそうな表情。ファーストサマーウイカは、そんなカンパニー松尾監督に「打たれ弱い!」と笑い、「BiSのことをアイドルとして勝ち、負けで見ていた人がいたかもしれないけど、そうじゃないことが分かります。そしてこの『BiSキャノンボール』には伝説になってほしい。私の代表作なので!」と、本作やBiSへの深い想いを語った。

映画『劇場版BiSキャノンボール2014』は全国公開中
◇公式HPはこちら


取材/文 田辺ユウキ(映画評論家)

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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。