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浅田次郎の同名原作を、『相棒』シリーズの橋本一監督、水谷豊が映画化した『王妃の館』(2015年4月25日公開)。フランスのパリへ旅行ツアーにやってきた日本人観光客たち。彼らは全員、高級ホテルのスイートルームに宿泊することになっていたが、実はそこには倒産寸前の旅行会社が仕掛けたカラクリがあり…。水谷豊演じる天才小説家・北白川右京が旅の中で新作を思案し、またツアー参加者たちの問題も知らず知らずに解消していく物語だ。

橋本一監督は、脚本段階から水谷豊と「日本にはこういう映画は少ないね」と話していたという。

「原作はもっと下ネタや猥雑さがあって、そこが魅力でした。でも映画では、上品なものを意識し、原作との違いを出していきました。17世紀のパリの光景も出てくるので、それをどう再現させるかが一番のポイントでしたが、この物語は北白川右京の頭の中の世界でもあるので、本来はフランス人俳優を使うべき場面でも、あえて日本人キャストでやっていくことにしました」

ベルサイユ宮殿での撮影は、日本映画として初。ルーブル美術館も、綾瀬はるかが主演の『万能鑑定士Q モナ・リザの涙』があるのみ。

「ルーブルに関しては2か月前から撮影の図面を出して、審査にかけた。だから、いざ撮影となっても、現場で急きょカメラを増やしたりできない。提出した図面の通りにしなければいけないんです。そこが大変でした。ただ、セーヌ川のあたりで、そのあたりで撮影された名作映画のパネル展があったりして、『オードリー・ヘプバーンもここで撮影したんだ』と田中麗奈さんも喜んでいたり。キャストのみなさんが、パリの撮影とあってテンションも高くて、『昨日はあそこの博物館に行ってきて』という話をしあっていました」

北白川右京は、どこか浮世離れしていて、格好も奇抜。「だけど、実際はとても格好良い服装なんです。まさにトップモード。それにベルサイユに“風景負け”するのが怖かったので、右京くらい(の着こなし)じゃないと、埋もれてしまうんです」

橋本一監督は、『王妃の館』の公開後、ほぼ間髪を入れずに『ズタボロ』が2015年5月9日より全国公開される。

「こちらは若い俳優たちが殴り合う、“痛み”を表現した映画。ただ主人公と母親の情愛にも迫っている。『王妃の館』と『ズタボロ』はまったく違う作品に思えますが、ともに家族を描いた映画にもなっています」

映画『王妃の館』は全国公開中
◇公式HPはこちら


取材/文・写真 田辺ユウキ(映画評論家)

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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。