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『ドロップ』『漫才ギャング』『サンブンノイチ』に続く、品川ヒロシ監督の長編映画4本目『Zアイランド』が全国公開中だ。本作は、ある出来事をきっかけにゾンビ化が蔓延した孤島を舞台に、そこにやって来た元ヤクザ、家出をした女子高生たちがバトルを繰り広げるサバイバル映画だ。

本作で目を引くポイントのひとつが、映画の中で、生存者が「ゾンビは速いやつ(=走って襲ってくる)か、遅いタイプやつ(ゆっくり歩きながら襲ってくる)か」とゾンビのタイプを考えるところ。今までのゾンビ映画では、登場人物が状況を把握できず、ワケもわからずゾンビに殺される…ということが多かったが、『Zアイランド』ではまず「ゾンビであること」を認識し、分析するところから始まっていく。そういう細かいところに「品川ヒロシ=サブカルクソヤロー/(C)有吉弘行」なところだ。

品川監督は「ゾンビ映画を観終わると必ずその話をしていたんです。特に、昔のゾンビ映画を知っていると、「最近のゾンビって速くない?」という話題が出る。台本を書くときに、一番最初に思いついたことが、速いか遅いかについての言及だったんです」

主人公の元ヤクザ組長・宗形を演じた哀川翔も「そうそう」と頷く。「速いゾンビが(世の中の映画に)出てきたとき、何だかこの世の終わりを感じたよね。それまでのゾンビは逃げられる感があったけど、『バタリアン』(1985)あたりから、『これは逃げられないじゃん』という雰囲気が(ゾンビ映画に)漂い出した」

特に芝居の面で、ゾンビとの攻防は難しい。登場するゾンビは、漫画『進撃の巨人』を彷彿とさせる奇特なフォームから繰り出す猛烈な速さで人間に襲いかかってくる。哀川は「受けが難しいんです。ゾンビのあの速さを制御しなきゃいけない。でもがっちり組んでしまうと、それまでのスピード感を殺すことになる。あのスピード感を殺さないためには、極力絡ませないようにしないといけない。それに絡みが長くなると、(ゾンビも)何をやっていいか分からなくなる。だから『触れないように、触れないように』というアクションを心がけた」

1978年にアメリカで生まれた、ジョージ・A・ロメロ監督の名作『ゾンビ』。日本でもゾンビ映画はいくつかあるが、ヤクザとの対決は日本ならでは抗争図。品川監督は「人間ドラマは特に古き良き任侠映画を意識しました。また、『里見八犬伝』(1983)、『セーラー服と機関銃』(1981)、『戦国自衛隊』(1979)など角川映画の大衆演劇的な要素を、アメリカ生まれのゾンビ映画に混ぜ合わせたかった。翔さんの刀で戦う場面は白虎隊を思わせる。この映画の決着は特に日本っぽいと思います」と語る。

そして哀川は、アメリカのゾンビ映画にライバル心を燃やした。「最近はブラッド・ピットもゾンビ映画をやってたじゃん(『ワールド。ウォーZ』(2013)。あと、『ゾンビ・ストリッパーズ』(2008)という映画を観たんです。男を誘惑して、寄ってきたら食うという女ゾンビ。これが、感情を持つゾンビってことで結構怖かった。『これは日本映画としても負けられねえな!』という気持ちです)

映画『Zアイランド』は全国公開中
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取材/文・写真 田辺ユウキ(映画評論家)

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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。