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 いつも下町に出かける前に、ある程度の下調べをしてから行くことが多いのだけれど、今回は資料とした文章を読んでいてどうも切なくなってきてしまい、これは今のうちに見ておいた方がいいのかな、という気持ちにさせられた。

 そんなわけで、5月最後の土日と6月最後の土日の計4日間開催されている「お富士さんの植木市」、その最終日に家族で出かけてみた。場所は浅草なのだが、雷門や六区周辺の繁華な場所ではなく、観音裏、言問通りの向こう側で、住宅地に小さな商店が点在している辺りだ。

 下町の屋根から屋根を歩く三毛猫を眺めつつ、浅間神社の先にあるコインパーキングから植木市をめざすと、やがて広めの通りに露店が建ち並ぶ「一葉桜・小松橋通り」へ出た。人もお店も多すぎず少なすぎずで、ベビーカーの子連れには歩きやすいが、お店も人も想像していたよりは少ない印象。その小松橋通りから5656会館まで伸びているのが柳通り。そこにたくさんの植木が見えたため、ベビーカステラなどの甘い香りに鼻をくすぐられながらも、まずは柳通りの植木市を見てみることにした。

 紫陽花やバラ、ケイトウ、ヤマユリやキキョウなど、美しい花々が目をひく。その他にも、今朝山から引っこ抜いてきましたと言う風情の名前を知らない植物があったり、サボテンのような多肉植物、てのひらサイズのかわいらしい盆栽なども売っている。また、植木と相性の良さそうな大きな鉢や水に浮く飾り、メダカなども売られていた。

それらをベビービーカーに乗った息子に教えるように指差しながら見ていると、早速気になるものを発見した。荒井修氏の著書『江戸・東京の歳時記(集英社新書)』に書かれていた「つりしのぶ」だ。

 シノブというニンジンの葉っぱのような植物の根を、枝のかたまりのようなものに絡ませたもので、軒先に吊るして涼をとる夏の風物詩なのだそう。根っこごと宙に浮かぶ緑。下に風鈴が付いていて不思議にまとまっている。しかも、ここのつりしのぶには、飛脚のような、船頭のような、謎のなま足おっちゃんフィギュア(?)が乗っている。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/