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1972年に刊行された、テレビアニメ、ミュージカルにもなった児童文学『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』。幅広い世代に親しまれているこの作品を、『ALWAYS 三丁目の夕日』『STAND BY ME ドラえもん』で知られる映像制作会社・白組の手で映画化された。

構想15年、製作期間10年をかけて生まれた3DCGアニメーション『GAMBA ガンバと仲間たち』(公開中)。海に憧れる町ネズミのガンバとマンプクが、旅の途中で出会った仲間たちと、恐ろしい白イタチ・ノロイと対決する物語。監督を務めたのは、河村友宏、小森啓裕のふたりだ。

「僕は当時、アニメ版(1975年『ガンバの冒険』)を観ていました。アニメ、原作ともに日本のものとは思えなくて、びっくりしました。自分たちが今、そんな『ガンバ』を映画にするにあたって考えたのは、40年以上前の原作を、どのようにして現代のお話にするか。僕たちの身近な世界に、ガンバたちがいるようなお話にしたかった」

「10年前、CGアニメーション映画として、ピクサーやディズニーとは違うものを作るというところから出発しました。ルックスは日本でありながら、しかしフルCGアニメーションとして新しい感覚を目指し、そして原作のポテンシャルを引きつけていきました。ただ当時は、フルCGアニメーションは『無謀な挑戦』と言われていましたから。だからこそ、それを成し遂げたかったし、原動力になりました」(小森監督)

河村、小森両監督が所属する白組は時代を牽引する映像集団。『GAMBA』が出来上がるまでの10年の間に、白組から革新的な作品が次々と飛び出した。

「白組のクリエイターたちは仲間であり、ライバル。『Friends もののけ島のナキ』が先に世に出たし(2011年製作)、『STAND BY ME ドラえもん』は大ヒットした。会社としては追い風になりました。また、ディズニーからは『アナと雪の女王』が話題になり、この10年でアニメーションにとって良い雰囲気が流れていました。そんな中、僕たちはしつこく『GAMBA』をやっていた(笑)。『ナキ』や『ドラえもん』より前から僕らはこの企画をやっているんだ、という意地がありました」(小森)

「白組の作品はみんなで作っているから、仲間という気持ち。でも確かに、対抗心がないと言えば嘘になります。この10年間、非常に細かい作業を積み重ねていきました。特に、海の場面。波しぶきをカッコよくあげるため、何度もトライ&エラーを繰り返しましたから。それだけに、海の表情にはかなり自信があります」(河村)

仲間たちと協力して、強い者に立ち向かう。『GAMBA』を作っている10年間、日本でも大震災などたくさんの困難が起こった。だからこそ、映画の中のガンバたちのがんばりには、リアリティーが感じられる。

「いつも前を向いて努力する、ガンバの生き方は、自分たちも励まされました。10年も映画を作っていると、いろんなことがありますから。そんな僕らの姿が、ガンバにあると思います」(小森)

映画『GAMBA ガンバと仲間たち』は全国公開中
◇公式HPはこちら


取材/文・写真 田辺ユウキ(映画評論家)

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田辺 ユウキ
田辺 ユウキ
1979年生まれ。関西を拠点に映画評論家としてレビューやインタビューの執筆ほか、また映画と音楽のプロモーターも務める。2014年に大阪市映像事業「CO2」プロデューサー就任。「大森靖子映画祭」「いずこねこ 最後の猫トーク」などイベント企画も行う。