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 日本橋三越からコレド室町のおしゃれな建物群の間を抜け、まるで公園のような福徳神社の鳥居の前を向かって右に進んでいくと、首都高1号上野線の高架にこんにちは。その向こうに、提灯の連なる路地がチラリと見えた。やってるやってる。

 日本橋大伝馬町、宝田恵比寿神社大祭。つまり「べったら市」。さっきまでの、広々とデザインされたモダンなオフィス街とはうって変わって、高速道路を隔てたこちら側は細い路地が縦横に走る下町の風景となる。そんな、べったら市のエリアに足を踏み入れ最初に目に飛び込んできたのは、オムツ!

 なんと乳児用の紙オムツが1パックたったの800円! ひとり3点まで。安っ! 電車に乗らずに帰ることのできる距離に住んでいれば思いっきり3つ買って帰りたいところ。ほかにもトイレットペーパー、キッチンペーパーなど、紙製品が投げ売りみたいな価格で売られていて主婦魂に火がつきかける。これなら店の前にできた人だかりも納得だ。

 しかし、ふと気づく。前にべったら市を訪れた時には、私はまだ独身だったせいか、こういうものにはまるで目がいっていなかった。日用品よりも、祭の賑わいや歴史の香りのするものにばかりアンテナを張っていたのだ。でも、さすがは問屋街に立つ市。日々の暮らしに必要なものを廉価で売っているお店が実はあちこちにあるのだ。

むしろ、昔の私はなぜ見過ごせたんだろう。今になると不思議だが、こんな風に地元の企業や商店がべったら市だけの特別な価格でものを売っているのは、まさにここならではの魅力だと今さら納得してしまった。

 そんなことを思いながらそぞろ歩きしていると、私の横を法被を着た子ども達が列をなして通り過ぎていく。見れば、宝田恵比寿神社の鳥居の前に子供神輿がセットされていた。しかし、この細い路地である。しかも、宝田恵比寿神社の拝殿は通りに面しており、参拝者の列はそのまま路上に出てくるしかない。

細い通りはいっそう細くなり、苛立っている人もいる。仕方がないので神輿を担ぐ子どもたちの姿を諦め、宝田恵比寿神社の前で一礼し、先を急ぐことにした。

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諸岡 なほ子
諸岡 なほ子
福岡県大牟田市出身のタレントで、現在、一児の母。作詞家(MONA)としても活動。趣味は読書、散策、落語鑑賞、お祭見物&参加。世界遺産検定2級取得。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター、MBS「住人十色」訪問者など多数出演。著書に『地球のどこかの秘境から』(実業之日本社)。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/nahoko/