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今宵も“飲まさる”北の酒場で(5) 小西 由稀


 うすうす気づいてはいた。ただ、このままでもまだ大丈夫だと思っていた。いや、そう信じたかった…。何のことはない。“老眼鏡”の話である。

 メニューの文字が見えにくくなったと気づいたのは、いつ頃からだろう。バーのカウンターでLINEを見ても、読みにくいったらありゃしない。翌朝、読み返した返信の誤字脱字の多さに恥ずかしくなったのは、何も酔っていたからだけではない。

初めての老眼鏡! -拡大写真-

 ある夜、クラフトビールの説明文がどうにもこうにも解読できず、友達から老眼鏡を借りてみた。すると、どうでしょう。文字がはっきりくっきり!同じ明度とは思えないくらい、視界が明るい。そして、思った。何に抗い、意地を張っていたのか、と。よし、老眼鏡を買おう。北海道が誇るクラフトビールの新星「ニセコビール」の「ポーター(蝦夷)」を飲みながら、そう心に決めた。

なんとこのビール、北海道産の鮭節、昆布、干ししいたけを使った旨味爆弾のようなポーター! -拡大写真-

 この数日後に出かけたのは、昨年6月にオープンした『ベトナムゴハン チリン堂』。ススキノの南側、地下鉄南北線「中島公園」駅から歩いてすぐの、ベトナム料理専門店だ。
 早速、量販店で購入した老眼鏡をかけ、勇んでメニューを手に持つ。うん、見やすい! 細目の書体の美しさもよくわかる。初めて訪れた時、メニューはその店と仲良くなるための大切な手がかりになる。メニューの順番、説明の内容、書体、行間から、店側が伝えたいさまざまなメッセージが見て取れるからだ。だからこそ、はっきり見えることが重要なのである。
 老眼鏡の話はもう十分ですね (笑)。

 チリン堂のオーナーご夫妻は、大阪のベトナム料理専門店に勤めていた時に出会い、ホーチミンに5年半住んだ経験を持つ。ベトナム人シェフに教わった味、現地で食べて気に入った味わいが料理のベースだ。日本人向けにアレンジせず、さらに化学調味料に頼らないやさしい味わいが特長である。

一日5食限定の蒸し春巻。中にもトッピングにも野菜たっぷり -拡大写真-

 特に印象的だったのは、「蒸し春巻」。生春巻と揚げ春巻はライスペーパーを使うが、蒸し春巻の皮は自家製だという。米粉クレープを焼き、特製の肉餡を包んで蒸す。肉餡といっても、野菜が多いのは生も揚げも変わらない。これをヌクマム(魚醤)ベースのタレで味わうのだが、蒸した皮のむっちりもっちりした食感がたまらない。


北海道(hokkaido)







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