今宵も“飲まさる”北の酒場で(7) 小西 由稀
ちょっとご無沙汰している間に、季節は秋。旬の味を頬張ろうと、この時季を待ち構えていたのだが、今年は、いや今年もサンマが不漁、秋鮭も不漁、さらに真イカも不漁だという。
1本400円もするサンマは庶民の味とは呼べず、飲食店のメニューからも食卓からも姿を消してしまった。生筋子でつくるイクラの醤油漬けは、今年は泣く泣く断念。だって、ひと腹6000円なんて、手が出ない。

みりんなど甘味を足さないのが小西家の味。あ~恋しや、イクラ -拡大写真-

9月の根室で生サンマの握りを見つけ、迷わず注文! 4貫ひとりで食べたのではありませんよ(笑) -拡大写真-
温暖化の影響か、公海での外国船の“爆漁”の影響かわからないが、季節の味を楽しめることはいかに尊いことなのかを思う、秋の始まりなのです。
今年の夏~初秋は、出張や旅で道内いろんなところに出かけた。
その地域ごとに多彩な飲まさる味がありますなぁ。
晴れ女の私は、天候で困ったことはほとんど記憶にない。食のイベントに仕事で呼ばれる際は、“晴れ請負人”としての期待も加味され、キャスティングされているような気がする。
何年かぶりに渡った礼文島も、雨の予報を覆し、見事な快晴だった。

隣の利尻島の利尻富士がきれいに見渡せる -拡大写真-
礼文といえば、ウニをはじめ、質の高い魚介類で有名だが、ここでしか味わえない浜の味も多い。
例えば、「ホッケのちゃんちゃん(焼き)」。

生のホッケならではの食べ方 -拡大写真-
「ちゃんちゃん焼き」といえば、鮭を使った料理はご存じの方もいると思う。生の鮭やキャベツ、玉ネギ、キノコをホットプレートで焼いて、ちょっと甘く調合した“ちゃん味噌”をかけ、蒸し焼きにした北海道の家庭料理だ。

味噌とバターの相性は最高! -拡大写真-
一方のホッケのちゃんちゃんはこうだ。開いた生のホッケのハラス部分に、すっきりした甘さに調合したちゃん味噌、そしてたっぷりの刻みネギをのせて炭火で焼く。具はなし。
自ずと身の薄い尾の部分から焼けてきて、ぷくぷくと脂が滲んでくる。そうすると、尾の身を崩しながら、味噌とネギを交ぜ、おじさんが皿によそってくれる。「あっついうちに早く食べれ」という無言のメッセージ付きで。
北海道(hokkaido)






